「七~、今日もお昼一人で食べるの?」
うっ、女のあたしでも可愛いって思ってしまう。
ん?
とあたしに向かって首を傾げているのは
親友の大阪真澄(おおさかますみ)
美少女のクセして天然
だから、媚びたりしないから一緒にいて楽
そんなあたしは、素直になれないツンデレの
矢野七(やのなな)
あたしたちは高校二年生
「あたしひとりで食べるから」
真澄に一言言ってから
あたしはいつもの場所に行く
そこは屋上
人と関わることが苦手なあたしは
いつもひとりでお昼を食べる
真澄と食べればいいのに
真澄は可愛いくて友達が沢山いる
だからあたしはひとりで食べる
「………」
誰?
いつもひとりなのに今日は先客がいた
「しかも寝てるし」
そいつは、スースーと寝息をたてて寝ている
私はしょうがなく帰ろうとする。
「いれば」
背中から声がした
あたしは、は?と思い後ろ振り返る
そこにはさっきまで寝息をたてて寝ていたやつがいる
「あたし一人が良いし」
「俺も」
………。
コイツバカなの?
自分が呼び止めたくせに
あたしが呆然としていると
はぁ…
と溜め息をして起き上がる
「俺帰るね」
クリーム色の柔らかそうな頭の男は
私の横をすぅーと通り過ぎていく
良かった
邪魔者がいなくなって……
じゃなくて!
「ちょっと!あんた
名前ぐらい名乗れ!」
あたしは、クリーム野郎の腕を掴む
ダルそうに振り返る
わっ!
結構かっこいいじゃん
「何?ナンパ?」
は?
「なんであんたにナンパしなきゃいけないのよ!」
「…黙れ、メスブタ」
………。
メスブタですと!?
「じゃーね、ブーちゃん」
「ちょっと!」
「っんだよ」
不機嫌にあたしを睨む
待って
あたしは名前聞いただけ
なのになんでクリーム野郎にメスブタなんて言われなきゃいけないのよ!
「ふざけんじゃないわよ!
あたしには名前があるの!
矢野七っていう!
それに何?その頭!
校則違反!」
あたしは言いたいことをババッ!と言った。
「はぁ」
なんなのコイツ!
さっきから溜め息ばかり
「地毛だし、これ
じゃーね七ちゃん」
ガチャン!
屋上のドアが重く閉まる
「七!おはよー」
クリーム野郎と会ってから授業に出る気にもならず
そのまま帰ったあたしは次の日学校に来た
真澄は嬉しそうにニコニコしながらあたしの近くに来た
「真澄なんか良いことあった?」
「良いことって言うか
今日転校生くるんだって!」
真澄はそう言って教えてくれた
転校生ね…。
ガラガラ
担任の先生が教室に入ってきた
あたしは真澄と別れ
自分の席につく
「先生!転校生って女!?」
クラスの男子が聞く
「もう話聞いたのか
まぁいい
入れ」
そう言われて入ってきた転校生
え、待ってよ
嘘でしょう!?
「今日からこのクラスの仲間になった
石井晴(いしいはる)だ」
「く、クリーム野郎!」
あたしは思わず立ち上がり
クリーム野郎を指差して叫んだ
皆の目線があたしに移された