え・・・?




何、こいつのこの顔・・・。



祐兎が、笑った?




普段、ずっと不機嫌な顔のままなこいつ。


武田くんたちとじゃれ合ってたって、
決してその無表情を崩さないこいつが、


初めて笑った気がした。




その顔はあまりに妖艶で、ついついドキッとした。


初めて見たその優しい瞳と、その声。


あたしは文句を言うのも忘れてその顔に見入っていた。














「え?何この人ら。
 ずっと見つめ合ってんすけど・・・」


磯部くんのその言葉であたしは我に返った。


「み、見つめてないし!こいつがアホな顔してるから
 面白いなぁ~って・・・」


「おい、誰がアホだって!?」


そんなあたしたちのやりとりを見て、みんなで笑い出す。


なんか、
楽しいかも・・・。


この人たち、そんな悪い人じゃないみたい。


みんな仲良くて、
あたしにも優しくて(祐兎以外は)。


なんとかやっていけそうって思った。


「おい、そこまで歌えんなら、歌詞つけろよ」


「だって!!あたし歌とか歌ったことないし!!
 歌詞なんて、つけられないよ」


あたしが反抗すると、
亜貴がベースを置いてあたしの傍まで来た。




「んじゃ、歌詞付きの方は学校で練習すっか」


「え?」