その曲は祐兎のギターから始まる曲だった。
さっきも思ったけど、
こいつ、すごい・・・。
煙草の煙が、彼のギターの上で舞う。
それすらも、何故か格好よくて・・・。
しばらくして、サイドギターの磯部くんが加わった。
二人は息がぴったりで、
途中、アイコンタクトを取り合っていた。
そして、武田くんのドラムが静かに入り、
いつの間にか、亜貴のベースも混ざっていた。
皆の音が一斉に鳴り出すと、鳥肌がたった。
ぶわっ、と
何かに掴まれていくような感覚さえも感じてしまう。
何なのこいつら。
この衝撃はなんだろう・・・。
ぞくぞくする。
こんな中であたしもやれたら・・・。
「おい」
いつの間にか演奏は終わっていて、
祐兎がこっちを見ていた。
「あ、ごめん。ちゃんと聞いてたよ。ありがとう」
「そうじゃなくて、ホラ」
祐兎はそういってマイクを差し出した。
「うん。ありがとー・・・って・・・・・・」
ありがとうじゃないよ!!
何これ、何でマイクなんか持ってるの?
ホラって何!?
まさか・・・。
「え・・・?」
歌うんじゃないよね?