「あ、医者がダメっていってるんじゃないわ。実際、私も亮介と結婚するまでは、お医者になろうと思っていたしね?」







紫さんの質問にあもりにも、悲しみが篭っていたようで私は気づかぬうちに怪訝そうな顔になっていたらしい。






紫さんは、私のそんな顔をみて咄嗟にフォローしてくれたようだ。









「そうだったんですか?」



「ええ。というか、亮介に出会ったのは医学部なのよ。」







紫さんは懐かしそうに、端が曇っている鏡に目を向けた。








「わあああ~~。そうだったんですね。」



「ええ。でも卒業した時にプロポーズを受けたから、お医者は諦めたのよ」