「おじゃましますっ!!
あ、おじゃましてますっ!!」
航太は吉井のお母さんに向かって、
直角にお辞儀をして大きな声で挨拶した。
「あらあら、まぁ.......泥んこだわ」
吉井のお母さんは、眉間にシワを寄せた。
「あの!すみません!!
こら!航太!!靴履きなさい!!!」
玄関の外からお母さんに謝ると、
お母さんは航太の首の後ろのシャツを掴んだ。
「サイズは120なのね。
瞬と類の服、取ってあるから、今持ってくるわね」
お母さんは玄関からすぐのところにある階段を上って行った。
瞬と類.........
るい............
「とりあえずお前も入れよ」
背中を押されて、緊張しながら玄関の中に入ると、
パタンと扉が閉まって、
本当に吉井の家の中に入っちゃったんだって、
ここで毎日吉井は生活しているんだって、
急に意識してしまって、
さらにドキドキしてきてしまった。
吉井が靴を脱いで玄関に上がると、お母さんが服を持って、
階段を下りてきた。
そして航太の前にシャツを広げて見せた。
「これね、瞬の双子のお兄ちゃんが幼稚園の頃に着ていた服なの。
これに着替えようか」