「彼女なんかじゃねぇし。


あいつはただの隣に住む幼なじみだよ。


隣に住んでるって言っても、さっき久しぶりに会ったぐらいだし。

いまから彼氏に会いに行くとこだって。


だから.......わかったか?」



言い聞かせるようにぽんぽんと頭を撫でられて、

自分が恥ずかしくなって下を向いた。



「あんなに綺麗な子が隣に住んでいたら、

普通好きになるんじゃないの」



口を尖らせて言うと、吉井はまたポンポンとした。



「俺、あいつにも振られてるから。


俺さ、自分から好きになった奴には大概振られるんだよ。

だから、もう.......」





もう..........?


また顔を上げると、吉井はふっと笑った。



「お前が悪い」



「はっ?」



「ほんと、お前が悪い」




吉井は、あははっと笑って頭から手を離した。


い、意味がわからん。


「俺これから最後の部活だからさ。


お前は?買い物?」




あ......部活だったんだ。




「うん、ちょっと服見に来たんだ。

私、見ての通り男っぽい服しか持ってないから、


スカートを......」



........って私何言ってんだろう。



あんなにおしゃれで綺麗な幼なじみの子に比べて、

地味でかわいげのない私。

こんな服で吉井に会いたくなかった。



吉井は、吹き出して笑った。



「もう、買ったの?」



「うん……もう帰るとこ」




下を向いてそう言うと、



吉井は私の荷物を持った。



「家まで送ってから、部活行くから、


ほら、行くぞ」