私は濡れた手をタオルで拭いた。



「全然かわいくないし。
いいよ、まだお小遣いあるから」



「いいから、とりあえず渡しておく。

これからデートとかどうするの?

かわいい服一枚だけってわけにいかないのよ?」



で、デート.........



「デートとか.......そんなんじゃないから」



「姉ちゃん、超真っ赤」



「うるさい!航太!」




軽くパシッと航太の頭を叩くと、「いってぇな!!」と航太が大げさに痛がった。




「あぁ、もう下行かなくちゃ。

じゃあ、お昼ご飯頼んだから。


ねっ」



お母さんは無理やり私にお金を持たせると、

急いで下に下りて行った。




「俺、から揚げかハンバーグがいいな。



なぁ、姉ちゃん、聞いてんのかよ!」

航太が私のパーカーを引っ張った。



「わかった、から揚げがハンバーグでしょ?


買ってくるから」


航太の頭をガシガシと撫でてから、

リビングを出て自分の部屋に戻った。