なんだよ........
なんでそんな優しいこと言うんだよ........
泣いちゃうじゃんか。
「お、お前、なんつー顔してんの?」
唇をぎゅっと噛みしめて、目をかっ開いていたら、
顔を覗き込んでいた吉井が吹き出して笑った。
「吉井のばかたれ」
「はぁ?」
「うっかり泣くとこだった」
吉井はさらに笑い出して、
私の頭に大きな手をのせた。
「涙こらえてる顔だったのか、ははっ」
「違う!元々こういう顔だっつーの!
悪かったな、かわいげのない顔で!」
あ.......心で思っていたことを、
口に出してしまった。
かわいげのない私。
かわいい女が好きな吉井。
卑屈になっている私の心。
「いつ俺がお前のこと、かわいげがないって言ったよ」
頭をぽんぽんとされて、
唇を噛みしめながら下を向いた。
「言われてないけど、
みんなそう思っているって........
私、自分のことわかってるから」
その時、吉井が頭を撫でるのをやめて、
その手で私の顎をくいっと持ち上げた。
かっ、顔が近い。
「お前は自分のこと、全然わかってねぇ」