宇崎さんと、友達に.......?


宇崎さんを心配してるのか。


宇崎さん、彼氏いるのに。



しかも、宇崎さんの彼氏の渡瀬くんって、吉井と全然タイプが違う。


渡瀬くんは、吉井と違ってそんなに背が高くない。


少し長めの髪の色は栗色で明るく、いつもニコニコ笑っていて、かわいい系男子だ。





吉井はというと、背がデカい。


私の身長と比べると、絶対に185はあると思う。


襟足と耳周りのすっきりした黒髪、


長めの前髪の下に見える整った綺麗な顔。


爽やかで、正統派の美形男子だ。



真面目そうな真剣な顔が、笑うと突然くしゃっとかわいく.......って、



私、何考えているんだろう。



とにかく、宇崎さんは渡瀬くんと付き合っているんだから、


なんで、吉井は.........




「宇崎さんが心配?」


ちらっと横目で吉井を見ると、吉井はまっすぐ前を向いて遠くを見つめていた。



長い坂道の上、


下を向くのをやめて前を見ると、


いつの間にかオレンジ色の空は、藍色の空に変わっていた。




「友達としてな。



変な意味で、心配はしていない」



変な意味.........




坂道をゆっくりと下り、




下りきったところで立ち止まって、


「あ、こっち」と、私が右を指さすと、


吉井はゆっくりと自転車を押して右に曲がった。




「吉井は......宇崎さんのことが好きなんじゃないの?」