「大丈夫だって!もう渡瀬くんのことは好きでも何でもないし」
春奈は階段を下り始めた。
私は綾香と目を合わせてから、春奈の後を追って、
階段を下りた。
下駄箱から出て、3人一緒に駅に向かった。
春奈と綾香は電車通学。
私は学校から歩いてすぐのところに家があるんだけど、
いつも二人と駅で遊んでから歩いて家に帰る。
3人並んで駅へと歩くと、
自分の背の高さをすごく感じる。
二人の身長は160㎝前後。
私は170㎝。
春奈は、黒髪のボブ。
綾香は、長い茶髪のストレート。
私は、黒髪で前髪ぱっつん
胸の下まである長い髪をいつも後ろで一つに結わっている。
春奈も綾香も、胸が大きくて目もくりくりしていて、
実に女らしくてかわいい。
それに引きかえ、
私は......
よく冷たそうとか、
きつそうとか言われるぐらい、
はっきりとした大きな二重の目は、
猫のようにつりあがっていて、
胸もおしりもぺっちゃんこ。
実に、女らしくない。
「もう二人が付き合って、一年以上経つじゃん。
別れろーとか思ってたけど、渡瀬くんの方が宇崎さんにべた惚れらしいから。
宇崎さん、かわいいしね」
マックでお昼を食べながら、春奈は切なそうに言い出した。
「春奈だって、かわいいよ!」
「そうだよ!」
綾香と一緒に春奈に言うと、春奈はあはははっと笑った。
「ありがと!でもほんともういいの。諦めたし。
男って、宇崎さんみたいに、
なんかほっとけないっていうか、
ちょっと天然っていうか、
そういう子の方が好きなんだよ。
女からすると、あざといな~なんて思っちゃうけど」