それから、いろんなことを宇崎さんと話した。
チャラいお兄さんのこと、
彼氏とのこと。
「へぇ、中学の時に彼氏が転入してきたんだ」
「うん。その時はなんとも思ってなかったんだけど」
「いいなぁ、私も彼氏がほしいよ。
彼氏にしたいって言われたことはあるけどね」
私がそう言うと、宇崎さんが笑い出した。
「そんな笑うなよ」
「あぁ、ごめんごめん、でもなんかその気持ちわかるなって」
「はぁ?わかんなくていいよ、そんなの。
ていうか、そろそろ彼氏部活終わるんじゃないの?」
私は教室の時計を見た。
「あぁ、ほんとだ。もうこんな時間なんだ。
楽しくてあっという間だった.......
部活終わったら、彼が教室来てくれるから、ここで待ってれば大丈夫なの」
ここに迎えにくるんだ。優しい彼氏だな。
「そっか」
私はリュックを持って立ち上がった。
「じゃ、邪魔しちゃ悪いから、私帰るね」
リュックを背負うと、宇崎さんも立ち上がった。
「ありがとう、紺野さん」
私は首を振った。
「じゃあまたね」
私は宇崎さんに軽く手を振ると教室から出て行った。
階段を下りると、部活を終えた生徒達何人かが下駄箱前の大廊下を歩いていた。
下駄箱に行き、靴に履き替え昇降口から出ると、
夕焼け空を見上げた。
ひとりで帰るなんて初めてかも。
そんなことを思いながら校門へと歩き出した。
すると、私の横を自転車が通り過ぎて、少し先で止まった。