結局、いいアイデアは浮かばず5日が過ぎた――――
その間もお子ちゃま詐欺師野郎が毎日会社にやって来て試作品を出せと社長に詰め寄っていた。
初めはなんだかんだと理由をつけ誤魔化していた社長だったが、とうとう誤魔化し切れず観念して頭を下げる事態となり、社内は険悪ムード。
「ごめんねー陸君、まだ何も決まってなくて……」
半泣きの社長をため息混じりに見つめるおこちゃま詐欺師野郎。
「ったく……そんなことだろうと思ったよ」
「でもね、商品のアイデア担当は鈴音ちゃんだから僕は悪くないよ」
「へっ?私?」
突然話しを振られ呆然。
信じらんない!社長のくせに可愛い社員を売るのか?なんちゅー薄情なヤツ!
「お前のせいか?」
おこちゃま詐欺師野郎の怒りの矛先が私に変わり鋭い目で睨み付けてくる。堪らず反論すると、更に目を吊り上げ―――
「まともに仕事も出来ないくせに、何が一旗揚げるだ!これで分かったろ?お前は島へ帰れ!」とデスクを力任せに叩いたんだ。
「ぐっ……」
酷い……あんまりだ。
「私だって、一生懸命……」
「一生懸命なんてどうでもいいんだよ!結果が全てだ」
情け無用の言葉に涙が滲む。でも彼に涙を見せるのがしゃくで必死に涙を堪えてると、さすがに社長も悪いと思ったのかペコペコ頭を下げ謝りたした。
「仕方ない。明日まで待ってやる。必ず明日には企画を上げろ!」
「分かりましたよ!すんごいアイデア出してギャフン!って言わせてやる」
「ギャフン……?俺は今までギャフンと言ったヤツを見たことがない。でも、お前が売れる商品を考えることが出来たらギャフンって言ってやるよ。楽しみにしてるからな」
バカにしたような笑いを浮かべ帰って行くおこちゃな詐欺師野郎の背中に飛び蹴りを喰らわしてやりたい衝動に駆られる。
おのれぇ~今に見てろー!!