「いい?鈴音ちゃん、先生が思うに、昔この島は女人島だったのかも……」
授業中でも見せたことのない真剣な眼差しで私を見つめる先生。
「にょにんとうって何?」
「女の人しか住んでない島ってこと!」
「えぇ!女だけ?」
「そう!この島に遭難した精力絶倫の小林という男が流れ着き、島の女を片っ端からヤっちゃったのよ。で、生まれた子は全員小林姓になり現在に至る。どう?この仮説!完璧でしょ?」
「…………。」
……この先生、ちょっと変わってる……
そう思いながら自信満々な顔で高笑いする先生を冷めた目で見上げていた小学2年の私。
先生が今でも教師を続けているかは不明だが、出来れば未来ある子供の為にも辞めていることを切に願う。
――――そして、おこちゃま詐欺師野郎が部屋を出て行って10分後……
「やっほー!鈴音ちゃーん!」
ドアのない部屋の入り口からヒョッコリ顔を出した社長がニヤけながら手を振っている。
「あ、社長!どこ行ってたんですか?」
「向かいの喫茶店で時間潰してた。でも、陸君帰るの早かったね。もっと時間掛ると思ったのに……」
「どーゆー意味ですか?」
「いやいや、それより陸君と鈴音ちゃんがねんごろになってくれて良かったよ。これで陸君も試作品を早く出せとか言わなくなるかもねー。いや~助かるよ。
実はさぁ、試作品どころか、新商品の企画も出来てなくて白紙の状態なんだ」
「はぁ~?」
全く悪びれる様子もなくケラケラ笑う社長。
……コイツ、仕事する気あるのか?