おこちゃま詐欺師野郎が驚いて目を見開く。
「知ってるんですか?平島……」
あんまりメジャーじゃない小さな離島だから東京の人は知らないと思ってた。
「んっ?あ、まぁな……じゃあ、お前の苗字は……小林?」
「えっ?はい。そーですよ。小林鈴音、申年生まれの21歳です!」
「やっぱり、小林か……」
社長に続き、また申年をスルーされた……
「あの~申年生まれです」
「サルなんてどうでもいい!それで、何しに東京に出て来たんだ?」
「何しにって……都会に憧れて、一旗揚げようかなぁ~なんて思ったり?」
「一旗?田舎者のお前にこの東京で何が出来る?交差点で交通安全の旗でも振ってろ!」
おこちゃま詐欺師野郎が吐き捨てるようにそう言うと、スーツの内ポケットからタバコを取り出し火を点ける。
なんなの?その態度!門限6時のおこちゃまなのくせに偉そうに!ムカつくなぁ~
でも彼はそんな私の怒りなんて全く気付く様子もなく、タバコをフィルターギリギリまで吸うと灰皿にソレを押し付け大きなため息を付いた。
「悪いことは言わない。お前は島へ帰れ」
「はぁ?なんで?どうして島に帰らなきゃいけないの?せっかく出て来たのに」
「お前の為だ。分かったらとっとと帰れ」
眉間にシワを寄せ帰って行くおこちゃま詐欺師野郎の背中にあっかんべーをしながら心の中で叫ぶ。
フーンだ!!全然分かんねぇーよーだ!誰が帰るか。バーカ!