「ゲッ!!社長?」


右手に変態アメを持ち左手でおこちゃま詐欺師野郎の股間をまさぐってる姿は、社長の目には間違いなく変態女に映ったはず。


「わわっ!違います!これは……」


慌てて否定しようとした私の言葉を遮り、社長が神妙な顔で言う。


「いいんだよ。鈴音ちゃん。恋愛は自由だ。邪魔者は去るから思う存分、陸君とヤっちゃいなさい」

「はぁ?」


社長ったら、大きな勘違いしてる……


必死で言い訳を試みるも社長の誤解は解けず、そそくさと部屋を出て行ってしまった。


「参ったなぁ~……」


ため息をつき振り返ると、おこちゃま詐欺師野郎が暗い顔をして俯いている。


「どうしたんですか?」そう声を掛けると、消え入りそうな小さな声でボソッと呟いた。


「さすが千人切りの女だな。俺のは物足りないってことか……」

「んんっ?」


もしかして、さっきの私の言葉に傷付いているとか?スネてんの?なんちゅー面倒くさいヤツ。


そう思ったけど、その寂しげな後ろ姿が余りにも哀れで胸がチクリと痛みつい本当のことを言ってしまった。


「あの~実は私、男性のアレ触ったの初めてで……凄いの基準が分からなかったから……ごめんなさい」

「……初めて?歌舞伎町でブイブイいわせてたんじゃないのか?」

「あぁ、あれは社長の苦し紛れの嘘で、本当は昨日東京に出て来たばかりなんです」

「昨日?どこから?」

「平島(たいらじま)です」

「……平島だと?」