・・・こんなデートも、私にとっては初めてだったのだ。

今まで出来た彼氏とのデートは、いつも家デート。

やる事はいつも同じ…体を重ねるだけの時間。


そんな毎日が嫌だった。

楽しくもなんともなかった。


秀人は、私がそんな彼氏がいた事は知らない。

いつも、秀人は仕事で家には来なかったし、

たまに来ると言ったときは、必ず家にいるようにしていたから。


…ふと、私は足を止めた。

道の真ん中なのにもかかわらず。


「どうした愛海?他の人の邪魔になる」

そう言った秀人が私の手を引っ張りよせた。


「家に帰ろう」

私は秀人を見上げ、そう呟いた。

「なんで?楽しくない?」

秀人は少し、不安げな顔を見せた。


私はブンブンと、頭を左右に振った。

「ううん、楽しいよ、楽しすぎる」

「・・・じゃあなんで?」

…私は秀人の顔にそっと触れた。