キスが嬉しくて、私もお返しする。

そっと唇に触れるだけのキス。

それだけなのに、恥ずかしくて秀人の胸に顔を埋めた。


「これくらいで恥ずかしがるなんておかしいな?

昨晩はもっと大胆だったのに・・・」

そう言って、秀人は意地悪な笑みを浮かべた。


「もぅ・・・秀人の・・・意地悪」

やっぱり顔は隠したまま、そう呟いた。

秀人はクスッと笑って、私をギュッと抱きしめた。



・・・あぁ、こんなに幸せでいいんだろうか?

この幸せがずっと続けばいいのに・・・

そう願わずにいられない。


・・・二人きりの朝食も、嬉しいが恥ずかしい。

こんな初々しい自分がいる事に、驚きしかなかった。

今まで恋愛では経験したことのない感覚。

それが新鮮で、まるで初恋のようだ。


「また何時、こんなゆっくりとした時間が取れるかわからない。

今日は、デートを満喫しよう」

そう言って、私を家から連れ出した秀人。

自分の車を運転するわけじゃない。

今日は、普通に、まるで学生のようなデート。

電車に乗って、お店を回って、歩いて移動する。