好きな人に抱きしめられて目覚めた朝が、

こんなにも幸せなんだと初めて知った。


…まだ朝日が昇る前に、目覚めた私は、

しばらく、秀人を見つめていた。


…無防備な秀人の寝顔に、自然と笑みがこぼれる。


一度目に抱かれた時は、こんなに穏やかな気持ちじゃなかった。

切なくて、苦しくて・・・

一緒にいる事が苦痛以外の何物でもなかった。


・・・こんな日が来るなんて、誰が想像できただろう。

兄妹として育った二人が、こうやって、男と女として、

一夜を共にした・・・今日からはもう、兄妹ではない。


・・・恋人なのだから。


「・・・早いな…起きてたのか?」

いつの間にか目覚めた秀人が、私を抱きしめなおして、

問いかけた。


「…うん、ちょっと早く目が覚めちゃって。

今日は、仕事はお休み?」


「あぁ・・・今日は、何の予定も入っていない。

久しぶりに日曜を満喫できる日だ」

そう言った秀人はフッと笑って、

私の鼻にキスを落とした。