私は咄嗟に口に手を当てた。

そして、その声の方に視線を向ける。


「新入社員だろ?」

「・・・はい」


「ま、せいぜい頑張るんだな」

「・・・」

私を見て、終始笑いっぱなしの男。

それだけ言って、中に入って行ってしまった。

…ストライプのスーツにネクタイを締めた、

顔はそれなりにイケてる顔・・・。

まぁ、秀人には、足元も及ばない・・・なんて。


時計に目をやり、ハッとする。

「ヤバッ…遅刻」

私はそう叫び、その大きなビルの中に入っていった。



「遅いぞ、新人!」

課長の席から檄が飛ぶ。

「すみません」

私は咄嗟に頭を下げた。


「さっさと前に来なさい、挨拶があるから」

「・・・はい」