「どうかなさいましたか?」

見合い相手の女性が、首を傾げる。

…まだその場にいた両家の親たちも、

かたずをのんで見守る。



「…この結婚」


「・・・・」


「何もなかったものと、諦めてください」

「?!!」

そう捨て台詞を吐いたオレは、レストランを飛び出した。


愛海が手に入るなら、他に何もいらない。

愛海がオレを愛してくれるなら、

オレはどんなことだってやって見せる。


自分の車に飛び乗り、

とにかく愛海に早く会いたくて、会いたくて、

アクセルを踏み込んだ。