「すみません・・・仕事が長引きまして」

ありきたりな言い訳をしておく。


「いいんですよ、北条さん。

秀人君も、社長と言う大変な地位に付いているんだ。

そんな彼が、こうやって時間を作ってくれただけでも、

私共は嬉しいですよ」

そう言って微笑んだのは、見合い相手の親。


「そう言っていただけると、ありがたいです。

秀人座りなさい」

親父に促され、オレは親父の隣に座った。


…あらかたの紹介を済ませ、両家の親は席を立った。


「お互い、いい大人なんですから、

私たちは失礼するよ…ゆっくりしていきなさい」


そう言ったのはオレの親父だった。

…この空間にいる事が、窮屈だったオレは、

まだこの先があるのかと思うと、うんざりしていた。


そんな時だった。

メールの着信音。

オレはそっと、携帯の画面を見た。

・・・思わず目を見開いた。