私の体はだんだんと消えて行くようだった。
しかも体温が少しずつ少しずつ低くなっているようだった。
ある日から加恋はパタリと来なくなった。
ただ私はぼぉっと真っ直ぐお人形のように一点を見つめるだけだった。
加恋も私に愛想を尽かしたんだろう。
あーあ。これでいつ死んでも大丈夫だな。
と私は思った。
私が死んで泣く人もいないだろう。
そう考えていた。
ここにある記憶は全て裕二に関係する記憶だった。
私が裕二に怒って知らないところに行ったから裕二が助けに来てくれた記憶。
美咲ちゃんが裕二に付き合ってって言っていた時の記憶。
まだいろんな記憶があった。
それは私が失った記憶だろうと見た瞬間にわかった。
あーあ裕二。やっと思い出せたよ。
もう多分あなたに会うこともないと思うけど。
ありがとう。こんな私を好きになってくれて。
ありがとう。私をいじめから助けてくれて。
ありがとう。私の味方になってくれて。
と言うように今頃になって裕二に言い切れなかったありがとうと言う感謝の気持ちが溢れてきた。
その気持ちと共に涙が溢れ、私の頬をたくさん濡らした。
床には涙の水溜りまで出来ていた。
ごめんね裕二。
私、裕二に沢山もらった感謝の気持ちを伝えられなかっただけじゃなく、恩返しも出来なかったんだね。
私は悪者で偽善者で最低で最悪な人間です。
どうか早く私の事を忘れて幸せになって下さい。
私は貴方にもう好きと伝える資格も好きになる資格もありません。
どうかお幸せに…
そして沢山私じゃ笑えなかった分美咲ちゃんと笑って下さい。
そう私は涙を流しながら願った。