絢side


裕二はわりぃ、ちょっと待っててくれ。と言って、何処かに消えた。

私はずっと裕二が消えた方を見つめながらただ突っ立っていた。

私は裕二の為に買ったネックレスを取り出してギュッと握る。

裕二が帰ってきたら渡そう。

裕二、どんな顔するかな?

びっくりするのかな。

私は想像して、ちょっと笑ってしまった。

でもその瞬間、私の身体は大きくバランスを崩し、車道側へと倒れる。

そして、運が悪いことにちょっと車が走って来た。

私はそれがスローモーションに見えた。

私は今更どうにも出来ずにただ車道側へと倒れて行った。

運転手は今、やっと気づいたのかブレーキを踏んだ。

でも、そんなのが間に合うはずもなく私の身体は宙を舞った。

私は薄れゆく意識の中で美咲ちゃんを見つけた。

私はそっと謝った。

ごめんなさい、私が居なかったら今頃裕二とラブラブだっただろうにね…。

そして裕二にも謝った。

ごめんなさい、こんなに早くお別れが来るなんて思わなかった。

身勝手な私をどうか許して…。

私はそう心で謝っていたがやがて意識が完全に途切れた。