『絢…。』

今度はハッキリと裕二の声が聞こえた。

私はゆっくり目を開けた。

でもまばゆい光が飛び込んできて思わず眉をひそめる。

目の前には私の…、




大好きな人がいた。


『……ゆ…じ?』

『絢……、お前…。


俺のせいだよな…?』

裕二はそう言いながら俯いた。

『……ちが…うよ?』

『えっ…?』

『わた…しは……、ゆ…じが幸せ…になって…くれれば…それで…いい…。』

『あ…や?』

『私はね…、裕二と美咲ちゃんの……幸せを願うよ。』

私はそう言って作り笑いをした。

嘘だよ…、裕二と美咲ちゃんの幸せをなんか願えない。

『………ねぇよ。』

『な…に?聞こえない。』

『美咲とじゃ幸せになれねぇよ。』

『なん…で?』

『だって…、俺は……




絢が好きだから。』

裕二がやっと顔を上げ、真っ直ぐな汚れの無い目でジッと見つめてくる。

『…………でよ…。』

『何?』

『からかわないでよ…。』

『からか…う?』

『本当は好きなんて思ってないくせにっ!

本当はずっと美咲ちゃんが好きだったくせに!

私はただの身代わりだったくせに!!


もう…、振り回さないでっ!!』

私は、久しぶりにこんな大きな声を出した。

私が大きな声を出したせいで加恋が来てしまった。

『絢…?』

加恋はゆっくりとこちらに入ってくる、そして裕二に気づいたその瞬間…、加恋は……。


『裕二…、あんた何しに来たの?』

そう冷たい声で呟いた。