私は急いでエレベーターに乗り込んだ。
そして2階で降りようとした。
でもエレベーターの出入り口には…、裕二が肩で息をしながら立っていた。
隣にも近くにも美咲ちゃんの姿はない。
私は咄嗟に人の後ろに隠れようとした。
でも、裕二に腕を掴まれてしまって強制的にエレベーターを降ろされた。
私はずっと俯いていた。
怖かった…、直接裕二の顔を見るのが。
すると裕二はひと気の無いところへと歩いて行くので私も当然腕を掴まれているからそちらの方へと行くことになる。
何て言われるかが怖い。
ダメだよね?また現れちゃ。
ダメだよね?美咲ちゃんが居るんだから。
私はどうすればいい?
この手を振り払って逃げればいい?
それともこのまま付いて行けばいい?
ねぇ…、誰か教えて…?
そんな風に心で願っていると裕二が止まってゆっくりと振り返ってきた。
私はずっと俯いている、だから目が合うことは無い。
『絢?』
『……。』
『顔上げて?』
『……。』
『…どうした?』
『…みっ。』
『み?』
『美咲ちゃんとラブラブそうで良かったね?』
私は作り笑いをしながら顔を上げた。
きっと上手くは笑えてない。
ダメだなぁ…。
もっと強くならなくっちゃ。
『ラブラブ?』
『…さっ…き、楽し…そうに笑っ…てたじゃん。』
『ああ、見てたのか。』
裕二は無愛想にそう呟いた。
もう嫌だ。
分からない。
何にも分からない。
祝福すればいい?
どうすればいい?
やばい…、また泣きそう。
『絢、俺…。』
『ごめんねっ。』
『えっ…?』
もう抑えきれなかった。
涙が頬を伝って床に落ちる。
『早く…っ、忘れな…きゃ…いけない…のにっ!』
『は?』
『忘れ…っ…られなくて……ごめんねぇっ…。』
私はしゃがみ込みながら泣いた。
ダメだよ…、裕二にこれ以上迷惑かけたら。
泣き止めっ!
早くっ…!
『やっぱり、俺じゃ絢を笑わせるのは……
無理だな。』
『えっ?』
『絢…、ごめんな。』
裕二?何?
ごめんなって何?
何に対する謝りなの?
やっぱり、早く忘れてくれって?
やっぱり、もう俺達には関わるなって?
ごめんね…、もう無理…。
私は堪らずその場を駆け出した。
裕二は追いかけて来たけど、デパートを出ると愛お姉ちゃんが車にいたから私も乗り込んだ。
ごめんね…、でも…もうさよならだよ?
今まで…、本当にありがとう。