『絢っ!!』
誰?私を呼ぶ声は…?
私は薄っすら目を開けた。
目に飛び込んできたのは…、悠斗の顔だった。
『どうしたの?』
『どうしたの?じゃねぇよ!!
どうしたんだ?
辛いのか?何が辛いんだ!』
『別に…、何にも辛くなんか…。』
『じゃあ何で泣いてるんだよ?』
私は悠斗に言われてやっと気づいた。
自分自身が泣いていることに。
『大丈夫だよっ!きっと怖い夢でも見たんたよっ!』
『裕二の…ことか?』
『えっ…?』
私は言葉を失った。
悠斗くんが私の夢の内容を見たかのような顔をしていたから。
『どうして…?』
『絢がずっと…、裕二って言ってたから。』
『ごめんなさいっ!私、悠斗と付き合ってるのに!』
『無理することはない。』
『でもっ…。』
『俺は…、別に絢を責めたりしないから。』
『でもっ…、それじゃあ悠斗が辛いでしょ?』
『俺は男だ、少々のコトぐらい耐えられるさ。』
『ありがとぉ、ごめんねぇっ…。』
『……は……が好きだからな。』
『え?』
『いや、何でもねぇよ。』
『ありがと。』
『おうよ!』
気持ちがスッキリした。
悠斗はやっぱり優しいなぁ…。
でも…、やっぱり好きなのは…
裕二だな…。
忘れなれないこの想い。
気づけば私はこんなに裕二から愛情をもらったんだと感じた。
それは私は初めての感情だった。