「繭!おはよう」
「蘭!おはよう」
週の始めの月曜日。
朝の教室で友達の相沢繭と挨拶を交わす。
「朝っぱらからなんだけどさ、昨日...」
繭に間違い電話があったこと。
"佳純"と言う人に間違えられたこと。
「それは災難だったね。しかも"佳純"って彼女の名前でしょ?間違えられる蘭も可哀想だけど、彼女も可哀想だね」
「なんで?」
「蘭のハスキーボイスと間違えられたから」
「どういう意味よー」
「冗談だってば、冗談」
「もう酷いなー」
「ごめん、ごめん」
"キーンコーンカーンコーン"
朝のホームルームを告げるチャイム。
「席につけ!!」
担任の松坂が言う。
「当然だが転校生を紹介する」
転校生!?
今季節5月だけど...
なんか微妙な時期だな。
「おい!入っていいぞ」
みんなの視線が転校生に向く。
女子の目がキラリと光った。
「生田廉です」
松坂先生が黒板に名前を書く。
生田廉?
あれっ、この名前どっかで...
まさか!
昨日の間違い電話の人!?
いやいやいや。
落ち着け...
もしかしたら同姓同名かもしれない。
顔見たことないから名前だけで決めつけるのはよくない...。
「城田?どうした険しい顔して」
隣の席の及川望が声をかける。
「別に、なんでもないよ」
こんなことをいいつつも頭の中は未だ混乱中。
「そうだなー。とりあえず今は後ろの。席に座ってくれ。また席替えでもするから」