俺の初恋は苦かった。
その子はいつも目を開けているかわからなかった。
その顔は笑顔に見えて、幸せな日々を過ごしているのだろうと思った。
ある時、俺は向こうから歩いてくる彼女に勇気を出して会釈をした事があった。
誰にでもフレンドリーな子だから、反応してくれると思っていた。
だけど彼女はそのまま通り過ぎた。
俺はなぜか無性に悲しくて、彼女から逃げるように走り去った。
それからしばらく経ち、席替えのシーズンがきた。
くじ引きの紙を持ち、新しい席に向かうと彼女がいた。
彼女はくじの紙を持ってオドオドしていた。
「あの…。ここ俺の席になったんだけど…」
彼女が使っていた席を俺は指さした。
「あ、ごめんね?悪いんだけど何て書いてあるか読んでもらっていい?」
彼女は申し訳なさそうに紙を指しだした。
のぞき込んでみると、俺の右隣の席だった。
「ここの隣。」
「こっち?」
彼女は俺が指さした方とは逆を向いた。
「…見えないの?」
「あ、うん。少し前はちょっと見えてたんだけど…」
その時初めて知った。
彼女が盲目だという事を。
その子はいつも目を開けているかわからなかった。
その顔は笑顔に見えて、幸せな日々を過ごしているのだろうと思った。
ある時、俺は向こうから歩いてくる彼女に勇気を出して会釈をした事があった。
誰にでもフレンドリーな子だから、反応してくれると思っていた。
だけど彼女はそのまま通り過ぎた。
俺はなぜか無性に悲しくて、彼女から逃げるように走り去った。
それからしばらく経ち、席替えのシーズンがきた。
くじ引きの紙を持ち、新しい席に向かうと彼女がいた。
彼女はくじの紙を持ってオドオドしていた。
「あの…。ここ俺の席になったんだけど…」
彼女が使っていた席を俺は指さした。
「あ、ごめんね?悪いんだけど何て書いてあるか読んでもらっていい?」
彼女は申し訳なさそうに紙を指しだした。
のぞき込んでみると、俺の右隣の席だった。
「ここの隣。」
「こっち?」
彼女は俺が指さした方とは逆を向いた。
「…見えないの?」
「あ、うん。少し前はちょっと見えてたんだけど…」
その時初めて知った。
彼女が盲目だという事を。