僕はいつも答えに迷って「どうなるんだろうね」と言うだけ。

煮え切らないと文句を言いたげな彼女、その指にはめられた指輪に僕はそっとキスをする。

彼女はいつもそれに驚く。

僕の行為にか、それとも自分の知らぬ間に指に指輪がはまっていることにか…。

そして僕は最後にこう言うんだ。

「再会のおまじないだよ」

きょとんとする彼女に微笑んで病室を出る。

きっと彼女はまた忘れてしまう。

僕が誰なのかも。

今日の話しも。

あのおまじないも。

全てわかっていながらただ続けていた。

ただのひとりよがりだった。

それからしばらく経った日。

僕が病室を開けると、彼女が指輪にキスをしていた。

きょとんとする僕に彼女は言った。

「誰かがね再会のおまじないだって教えてくれたの」

嬉しそうに微笑む彼女だが、きっと全てを思い出したわけじゃない。

それでも僕は泣いてしまったんだ。