そして二人は山道を登り、電話ボックスを探した。


大きなスロープの先に電話ボックスはあった。

「ほんとにある!」
Tが指をさした。

二人は駆け寄った。

電話ボックスは時から取り残されたように静かにたたずんでいた。

電話は黄色。
かなり古い。

二人はボックスに入った。

試しにTは自分の携帯に電話をかけた。
受話器はうんともすんとも言わない。

ツー、という音もない。
ただ無言であった。