そして二人は山道を登り、電話ボックスを探した。
大きなスロープの先に電話ボックスはあった。
「ほんとにある!」
Tが指をさした。
二人は駆け寄った。
電話ボックスは時から取り残されたように静かにたたずんでいた。
電話は黄色。
かなり古い。
二人はボックスに入った。
試しにTは自分の携帯に電話をかけた。
受話器はうんともすんとも言わない。
ツー、という音もない。
ただ無言であった。
Tはいった。
「どうする?192にかけてみる?」
Mは少し迷ったがいった。
「かけてみよう」
1
9
2
受話器はだんまり。
「やっぱりね。嘘に決まってる」
Tが受話器を耳から離した時……。
ピッ、ピッ、ピッ、ポーン
ピッ、ピッ、ピッ、ポーン
「25サイ、25サイ、タナカ カズヤ、タナカ カズヤ」
二人はこおりついた。
二人はぞくぞくした。
「聞いた?」
TはMを見つめた。
「うん、聞こえた……」
「次、Mかけなよ」
Mはダイヤルを押した。
沈黙の後。
ピッ、ピッ、ピッ、ポーン
ピッ、ピッ、ピッ、ポーン
「19サイ、19サイ……。オカモト エイジ、オカモト エイジ……」
そして、二人ともその通りに結婚した。
***
「不思議な話でしょ?」
Sがいった。
「どうせ、作り話だろ」
Oがいった。
「私は密かにあの電話ボックスに行ってかけたの。そしたら、25歳、ヨコタニ カズヤって音声がながれた。
で、わたしは今25、でもあなたの名前はアカマツ カズヤ、ちょっとおしかった。ま、偶然だよね」
Oは目を大きく見開き、黙ってしまった。
「どうしたの?」
…………。
「おれさ、昔ヨコタニだったんだよ。親が離婚して、今はアカマツだけど……」
当時、電話ボックスの話は瞬く間に広がったが、誰も見つけることは出来なかった。こつぜんと姿を消したのだ。
と、いうのが筆者がOから聞いた話だ。
もし、その電話ボックスを見つけたならばぜひ筆者にも教えていただきたい。