「響、…おはよう」
「…はよ」

明らかにいつもより顔色が白い響に少し不安が募る。昨日のこともあり、どこかぎこちない会話がさらにその不安を膨らませる。

「あ、あのさ…えっと、……」
「…美希」
「はい!」

呼ばれて背筋を伸ばす。響が「はは、」と笑った。

「悪い、気ィ使わせて」
「え!?そんなことナイよ?」

自分でも可笑しくなるくらい声が裏返る。も…何してんだろ…。そう肩を落とすとまた響が口を開いた。

「もう少し、」
「え?」

少し気まずそうに

「もう少しで変われると思うから…」

そう言った。

「うん。…うん、ゆっくりでいいよ」
「…ありがとう」

照れ臭そうに笑う響はいつもの響だ。


朝のショートホームルームのチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってくる。

「はい、席着いて。今日は大事な話があるから静かに〜」

先生が藁半紙のプリントを配り始める。生徒たちはわらわらとその内容を見て「もうそんな時期か」と口を開いた。

「あと、委員会から連絡が…」

「はい」と女生徒が立ち上がり話始める。

「プリントを見てもらえば分かると思うんですが、あと2ヶ月で文化祭が始まります。とりあえず、明日のホームルームの時間にクラスでやる内容を決めたいと思うので何か考えといてください」

はぁい、とやる気のない返事が点々と聞こえ、SHRは終わった。