「なぁ、国江、俺らのバンド入らん?」
「え?」

あまりにも突然のことで一瞬頭が固まった。

「なんで、俺なんすか?」
「広瀬に聞いてさ!」
「杏里?」
「おぉ!ギターとヴォーカルできるやつ探してんだ。したら広瀬がお前を紹介してくれて…」

バンド、そのキーワードに心臓が跳ねる。

「…なぁ、やってくれん?」
「………いいよ」
「まじ!?やった!あ、おれ亮介、高橋亮介な。広瀬とは同じクラスなんだ」
「あ、国江響です」

亮介に手を取られ握手をする。

「おう。なぁ、響はどのくらいできる?」
「(響…)それなりには…」
「よし!じゃあ早速今日集まりあるから…あ、番号教えて?」

亮介が携帯を出して自分の番号を登録した。

「じゃ、いろいろ決まったら連絡する!ありがとうな響!」
「え、あ」

返事もする間もなく、亮介は去って行った。

これが亮介との出会い。

これが新しい道の始まりだった。