あの頃は1番世界が輝いてた。

高校入学して間もない時期

『杏里ちゃん、部活どうする?』
『え?あ〜』

正直あまり部活というものに興味はなかった。いや、あったとしてもそれは自分には許されないものだった。

『あたしは』

そのとき目に入ったのがあのチラシ。学校公認ではない、生徒たちが集まって好き勝手やるバンド、“deep-BLUE”。

『…あたしあれ入る』
『え、軽音?』
『うん。ちょうどメンバー募集してるし』

募集はギターとヴォーカル。しかし自分はどちらにも興味がない。それを悟ったのか、美希が不思議そうな顔をした。

『…響、誘おうかな』
『あ、そういうことか』

『杏里ちゃんは優しいね』と、美希が納得して笑った。