「引っ越す人に……好きじゃない人にチョコなんてあげないもんっ!」





なぜか、駄々っ子みたいな言い方になってしまった。




そして、言った後後悔した。





あたし今、なんて言った?




いくら悲しかったからって、これは酷いよ。





「あ、あの、さく……」






「分かった。もういいよ、じゃあな」





悲しそうな顔とともに、朔が玄関のドアを閉めた。





「っ、朔。ごめ……んなさい」




こんなのただの八つ当たりじゃない。





あたしには、朔を追いかける資格なんてない。