「お母さん?」 「心愛、朔くんよ。話してきたら?」 朔が来ている? 促されて、あたしは朔のいる玄関へ向かった。 玄関のドアを開けると、朔がいた。 「朔、どうしたの?」 できるだけ何もなかったことを装う。 あたしがドアを閉めないようにするためか、朔はドアに手を置いていた。 「心愛……チョコちょーだい」 「え……?」 あたしの頭はフリーズする。 チョコ、ちょうだい? 「ヤダ」 勝手に口を開いていた。