「あ、心愛!」 楪が先に気づく。 「……楪」 楪の顔は、嬉々としていた。 そんな顔見せないで。 泣きたくなっちゃうよ。 「ごめん、報告は明日教えて?今日はもう、帰らなきゃ……」 あたしはそう言って、走り出した。 「楪、朔……っ。バイバイ!」 泣いてしまう。 だからその前に。 早く、2人の前から立ち去ってしまおう。 「心愛っ!」 後ろから、朔の声が聞こえる。 グッと腕を掴まれたあたしはその場に止まる。 離してよ。