「…」



俺は足を止めると、腰をかがめた。


子猫は、不思議そうに俺を見上げる。


ばか、そんな目で見るなよ。


俺はお前が思っているほどいい奴じゃねーよ。



「…お前、誰かを恨んだことないだろ。」


……


猫に何を言ってるんだ、俺…。



子猫は、ただじっと空を見つめている。


赤い太陽は、ますます赤くなって、

空を自分の色に染めていた。