2番目のわたし。【完結】



「‥おい、大丈夫か朝香?」

今度は声に出してきた秋


「‥‥‥‥あ、うん大丈夫。」


秋はただ、まだ好きだとおもってるから
ただそれだけで聞いてるだけ

「そーか。なんかあったら言えよ?」

「‥うん。わかった」


帰ったら先輩にメールしてみよう



そして、本当のこと聞こう








帰ってから夜先輩にメールをした。



『先輩噂で聞いたんですけど、

彼女と別れて他に彼女いるって

本当ですか?』



あ〜自分うざいな。ははっ。

めんどくさいやつじゃん

先輩はどーゆーつもりで私を2番目にしてるんだろう。

彼女作るなら私いらないじゃん


ヴーヴー


来た




『本当だよ。ごめんね
でも、朝香とは別れたくないよ。』


また?ごめんねって何に対してよ

彼女作ってごめん?

また2番目だよごめん?


『先輩には私は必要ですか?』



必要とされてるならまだ、一緒にいたい
そー思っちゃだめ?



『俺には朝香が必要だよ。
一緒にいてよ。』



そっか。まだ一緒にいていいのか

よかった。










それからも、こんな関係を続けた


土曜日には先輩の家に行った。


隣で眠っている先輩の顔を見て
私は泣いた。



「朝香‥‥‥‥す、き」


よかった。寝言で他の人の名前をいわなかった。
私も寝よう
先輩の腕に擦り寄りながら私は眠りに落ちて行った。










隣には朝香が眠っていた。

頬には涙の乾いたあとがあって

あぁ、また泣かせてしまった。

自分でも何でこんなことしてるかわかんないんだ

こんなかわいいお前を1人だけ愛そうとしてるのに

お前だけを見てると壊してしまいそうなんだ

きっとお前ならそれでもいいって言うんだろうな

俺には出来ないんだよ

お前を一番愛することも
お前を手放すことも







〜2年前〜


いつも、図書当番をしてる2人の女の子たちがいた


他の人たちが真面目に当番なんて来る日なんで全然なくて


この2人だけは絶対にいた。

1人は受付でいつもだらだらしてる

1人は本の整理を一生懸命やったり
本を手にとって読んでいた。

あの子確か陸上すごい子だ。
名前は神崎だったはず。

横顔がとても綺麗で小4にしては大人びていた。

目が切れ長の奥二重で唇は薄目だけどちょっと出てる鼻も小ぶりで丸顔。

かわいいのにどことなく綺麗な感じ

自信に満ちてます!ってくらいキラキラしてる。



ある日、そんなこと考えてたら俺はいつの間にかその子の後ろに立っていた。


「‥‥‥あのなんですか?」


と聞かれてしまい。
俺何やってんだ、近すぎだろ
気づかないうちに近づいてしまっていた


「いや、特に」


特にって不審者なみにきもいじゃん
何やってんだ俺。



それから図書室に行っては神崎と話してた。


これが恋だなんて気づいてなかった。


妹みたいに思ってた。


だから、何も言わずに卒業した。

また会えるだろう、ってくらいな軽い気持ちで。






それから、俺は中学にあがり

普通に彼女をつくった。

彼女、白石綾香はかわいくてかわいくて
いつも一緒に手を繋いで帰っていた。


ある日塾に行って帰ろうとしたら

神崎がいた。

久しぶりに会って懐かしいなー
やっぱかわいいなー

くらいにしか思ってなかった。


でも、その後何日かして、
かっこいい男子と歩いてるのを見た

あいつ大谷だ。あいつら小学生に見えないなー高校生くらいに見える。
なんか真剣な顔になった大谷
おい、もしかして告白する気か?


ズキっ‥‥‥


なんでだよ、なんでズキっなんだよ
俺どうしちまったんだ?


こんなの嫉妬してるみてぇー

おかしいって俺には彼女がいて

あいつはただの後輩。

なんでこんな感情湧いてくるんだよ。

くそっ、わけわかんねぇ。


「‥た‥‥‥しゅ‥‥‥‥た、駿太!
大丈夫?いきなり止まってどうしたの?
早く行こう?寒くて凍えちゃうよ」


「‥‥あぁわりぃ。行くか。えっと、
俺の家行くんだったよな」

「なに言ってるの〜?綾の家に行くんだよ〜?大丈夫?寒くておかしくなっちゃった?ふふふっ」

「あぁそうだった。ちょっと考え事してたら忘れてた。」

「もぉーじゃあ、家に着いたらいっぱいちゅーしてね?綾がいるのに他のこと考えてた罰だよ〜ふふっ」

「‥あぁ、ごめんごめん。
‥‥‥それって罰ってゆーの?俺にしたら嬉しいことだけど。ははっ」

「あーそっか!でもいいの〜!」


家に着いて、親がいないことをいいことに綾にキスをしまくって

何かを忘れるように綾を抱いた。

激しく何かを求めるように、

あの笑顔のあいつの顔が忘れられない

あと2ヶ月もう少しであいつがやってくる

そのうちに忘れられないとなんかだめな気がする

なんなのかわからない。


とにかく、忘れなければいけないと

頭の中で警報がなっていた。









あいつが入学して部活に入部もした


やべぇよ、なんか我慢できない。

どーすればいいんだ、

あいつに、彼氏いんのか?なんて聞いて
泣きそうになりながら違うって否定して走って行った。


あぁ、気づいてしまった。


俺あいつが好きなんだ。


泣いてるあいつを見て抱きしめたくなった。


こんな気持ちなくなれよ。

でも、ストッパーなんて効かなくて

図書室で番号を渡して
彼女いるの?って聞かれた時
嘘なんてつけなかった。


とりあえず繋がってたかった。
誰にも渡したくないと
誰にも触れさせたくないと
思ってしまった。


そして、海であいつが落ちそうになった時、走って腕を掴みに行って助けてしまった。


その時、同時に助けようとしたのは


大谷だった。



なんとなく気づいてた大谷も神崎のことを好きだってこと。


だから、焦ってしまった。


君が振ってくださいなんて言った時

君が大谷の所に行ってしまうと思ったから

本当にいいの?なんて聞いてしまった


2番目にならない?なんて言ったのは、
俺のただの独占欲


ごめん。縛り付けてごめん。
でも、お前も綾も手放せない

自分勝手でごめん。








それからして、引退してから
久しぶりに部活に行った時



「あきーおんぶーー!」

「はぁ?疲れてんだからやめろって!」

「えー!私も疲れてるのー!
じゃあ、じゃんけんして私が勝ったらおんぶしてー」

「また、そのくだらないゲームすんのかよーはいはい」

「じゃんけんしょ!‥勝ったー!
はい、おんぶ〜」

「またかよ!お前なんでじゃんけん強いの?!早く乗れよ〜じゃあ、あそこまでだからなー‥‥‥‥‥‥‥よぃっしょ!」

「わーーい!走ってーあきー!」

「走れるかよ!まったく!」

「あきーダンクしたい!!ゴールのしたに行ってーーーダーーンク!やったーーーー!」

「お前なーーあぶねぇーから言ってからやれよ!!!!」






あいつらなんか仲良くなってる

朝香は俺のじゃないの?
渡したくねぇーから彼女にしたのに
あれじゃあ意味ねぇーじゃん。




そしたら俺は倉庫に行って、
朝香を抱きしめた。


みっともないことを言って


朝香に甘えて、ごめんと呟いて


我慢できなかった。



朝香がモップを持って体育館に戻ると

俺は倉庫から出た‥




「山下先輩‥‥‥何やってるんすか」







「‥‥大谷‥‥‥」



「何やってるんすか先輩!
あいつの事振ったんじゃないんですか?!」


あぁ、朝香のやつちゃんと守ってるんだ

こいつにも言ってないんだこの関係のこと


それなら俺も言わないよ


「何が?振ったよ?それが?」


「じゃあ、なんで抱きしめたりしてるんですか!あいつが苦しんでるのわからないんですか?!」


こいつに負けそうだ。
でも、譲れない


「ただの俺の気まぐれだよ。
ただそれだけだ。あいつのことなんて知ったこっちゃねぇよ」

気まぐれなんかじゃない、
知ったこっちゃねぇなんかじゃない、

あいつのことばっかり考えてるよ

お前とおんなじくらいな。

「先輩!2度とあんなことしないでください!」

「‥‥‥さぁな、ちゃんと見張ってれば?ははっ。」

そして俺は逃げるように体育館に戻って行った。

あんなこと言えるあいつに負けるのが悔しくて、羨ましくて。

泣きそうになったんだ。