私は馬上、男は自らの足で大地に立っている。

既に高さからして、男の方が上方からの攻撃を受けなければならぬ分不利だ。

しかしその不利を感じさせぬほど、男の斬撃は重く鋭かった。

型にはまった剣術ではない。

例えるならば野獣の襲撃のような、荒々しく、凶暴で、気迫に満ちた攻撃。

伝統と格式を重んじる騎士とは思えぬほど、その剣は野蛮だった。

それだけに読めぬ。

それだけに強い。

男は頭上より見下ろす私に対し、互角以上の剣舞を見せていた。

「貴方とは戦う理由がない!そう言った筈だ!!」

必死に受け太刀に回る私。

「そうは言えども、俺が攻めれば戦わざるを得まい」

余裕の笑みさえこぼして、男は左右の殺意を私に繰り出す。

その刃は嵐か、暴風か。

一撃一撃が全て必殺であり、まともに受ければ甲冑ごと両断されるであろう、それ程の威力であった。

「いつまでそうして受け続けるつもりだ?それとも…」

男は口端を引いて、ニィッ、と笑った。

「お前の国と同様、やられっ放しのつもりか?」

「…!!」

その言葉に、瞬時にして頭に血が昇った。

「舐めるなぁっ!!!」