「うげ。......雨?」

ポツリ、と一粒落ちてきた雨はすぐに本降りになる。


「こっち!」

陽信に手を引かれて。走る。


.....いつ、走れなくなるのかな。

楽しいことが終わるとそんなことばっかり、考えちゃうの。


もしかしたら、今、ここで......

なんて。バカじゃないの。でも、本当になるかもしれない。

その不安にいつも襲われる。


「うわー。結構濡れたな。」

「.......そうだね。」


雨は、嫌い。


「どうかしたか?」


「ん。別に....」


陽信の顔を見るとキョトン、としてたから微笑んだ。


雨は、嫌い。

初めて孤児員の人にあった......いや、母親に捨てられた日も雨だった。


お母さん。

いくらそう呼んでも振り返らなかったし立ち止まりもしなかった。

今、思えば理由はわかるけど。



悲しかった。

幼いながらに孤独を味わった。