「うううう空木!?♡♡何してるのっ!?♡」


桜井先生が飛び上がる。



……なんとなく予想してた展開だわ。



「シーーッ、ちょっと先生、声我慢しろ」



「はい……♡♡」


「…まさか、吸血鬼のキライな物を使うとか?」


メロメロの桜井先生を支えながら、秦野が言った。


「蒼空せーかーい。
…吸血鬼の天敵といったらこれだろ」


ニヤニヤする空木は、自分の栗毛色の髪をかきあげた。


露わになった耳元にぶら下がっているピアスが光った。


この前、チラッと見えたピアスだ…。


そして、そのピアスのデザインは。



「…十字架か」


秦野がため息をつく。


な…なるほど。


もし山田が吸血鬼なら、十字架無理なんだ。