水を二つのバケツに入れて、二つとも持って、秦野は歩き出した。



「ちょちょちょ、ちょっと待って!あたしも持つ!」



そのスタイルいい細い体で、持てるとは思わない!



「…え?
いいよいいよ、関口さん女の子なんだから」



秦野がニコッと微笑む。



お、女の子……///


変に照れるじゃんか。



…って、なるワケないじゃん。



「猫かぶったでしょ今」



あたしがジロッと睨むと、秦野は目を見開いた。



「分かったの??」



「分かるから!凜じゃなくて関口さんって言ったし!」


へぇ、と秦野は頷く。



「俺の猫かぶり見破ったの、凜が初めて」



あ、ソーデスカ…。


秦野はそれだけ言うと、また歩き出した。


「だ、だからあたしも持つって!」


そんな会話を繰り返して、あたしと秦野は保健室に帰った。