あたしは逃げようとして、ジタバタする。


けど、



「逃げんな」



…と、背後から目隠しされてしまっては…。



「……は、ぃ…」



逆らう方が怖いんだよなぁぁ°・(ノД`)・°・


目隠しされてるせいで、何も見えない。


けど、甘ったるい香水のにおいだけが、鼻をつく。


出会った時と、同じにおい。



「…う、空木…?」


そろそろ離してくださいましても…。



「お前んちどっち」



目隠しをはずさず、しかもあたしを無視して、空木が背後から言った。


「は!?…え、ここから右に曲がって…、信号ふたつ渡って、真っ直…」


「よし、帰るぞ」



「へ!?」



空木は、まだ説明の途中なのに、目隠しをはずして歩き出した。


ズカズカと歩く空木に、呆然とするあたし。


な、なんなのこの俺様は…。


振り返った空木は、また不機嫌な顔で、



「遅ぇな凜」



立ち尽くしているあたしに言った。