「…あ~、ブラッドの奴ー…」


ズルいな、ホント…。


うなだれていると、



「っあ~、結局引き分けかよー…」


首をゴキゴキしながら、空木が、教室に帰ってきた。


「拉致が明かなかったね」


秦野も、マフラーを巻ながら帰ってきた。


「今度はもっと広い所でやろー☆」


スキップしながら、日向も帰ってきた。



「あれ?ブラッドは??」


空木が、あたしの頭に手を置きながら言った。


「…北欧に帰られました」



「はぁ!?アイツ原稿は!?」



「…書かずに帰られました」



「ズルすぎるねそれは」



「…はい」



「え、山田って何者!?てか、ブラッドって!?」



一人混乱する日向の肩を、零が組んだ。



あぁ、そっか日向も知らないんだ…。


そのまま零に、日向へのブラッドの説明は任すとして。