大成は俺にスマフォを預けると、
「お前も研究しとけ。」って言いはなって…
ゆっくりと教室の入り口へと向かって行った。
ドアの側で、ヤツはペンを走らせている。
どうやら…サインを求めたられたらしい。
信じらんないくらいに字が下手くそな癖に…
サインだけは、一丁前にカタチになってるのだから…不思議だ。
やがて女子の皆さんは、スマフォを出して…撮影会へと突入する。
カメラは苦手な方なのに…大変だ。
ちょっとはにかんだような、ひきつったかのような笑顔が…
何だか、笑えた。
戻ってきたヤツは少々げっそりしていた。
「アド聞かれた…。」
「え。教えたん?!」
「まさか。知らない人と交換したって仕方ないし。」
「……。だよなあ…、知らない親戚が増えるようなもんだ。大変だな、イケメンライダーは。」
「はあ?」
「近頃の日本のメディアでは、そう紹介されてんぞ?」
「……へー……。」
「ブログ見たけど、フォロワー急増してたじゃん。」
「……。確かに。」
「言動に気をつけろよ?今度は、どこで誰が見てるかわかんないんだから。特に…女関係は!」
納得いったようないかないような複雑な表情を浮かべたまま……。
大成はまた、定位置へと座り込んでしまった。
何処までも、自分のペースを乱さない生き方は。
羨ましくさえ…あった。
この差は――…
一体どこまで広がって行くんだろう。
その度に、足を止めて。
ヤツは…俺を待つ。
それも…いつまでの話か。
いつか、置いて行かれるんじゃあないかって、不安が過るんだ。