本来であれば、“情状酌量”が適用されてしかるべき事件である。 しかし真実がもし明かされていたのであれば、事件の根底をも揺るがす大事件なのだ。 皮肉にも、 世間に語られない別の“大罪”が吉行にはあった。 国家レベルの政策の遮断。 それが吉行の量刑の最たるものである。 抜けた穴の補充の為に回された“手”は世間が想像出来うる短絡的なものではなかった。