吉行の中の、狡猾で無機質な本性が当然とばかりに、そしてここぞとばかりに顔を出した。

壊れた雛飾りを巻いていたビニール紐を手に取った。

そしてゆっくりと詩織の首に回した。

左右の腕をじりじりと開きながら呟いた吉行は泣いていた。

「俺の愛する現実を……奪ったのか……?それとも初めから、そんなモノ……存在しなかったのか?」

すると詩織の下から正人が言った。

「ラからあ……オエの子れすって」

頭の狂った正人は笑いながら尚、詩織を下から突き上げていた。