公判は皆の関心の下、静かに開始されようとしていた。

死刑の可能性を大いに持ちながらにして、死刑制度廃止後始めての裁判とあって世間は否が応にも注目した。

役目を終えた原と重光は傍聴席で歴史的な判決が出るのを見守っていた。

その傍聴席には、黒男と……米国司法省長官の姿が見られた。


吉行もまた、最前列に陣取り静かに時を待った。



そして、モルモットである正人がやせ細った姿をゆっくりと皆の前に晒した。