黒男は裁判員制度の導入を見計らっていた。


有罪率99.9%を誇る日本。


即ち、免罪を含め、起訴された大半の判例の有罪はほぼ確定し、有罪である以上“刑”が言い渡される現在の仕組み。

素人同然の一般市民が、裁判官と並び、関わった事もない他人の判決を担うのである。

当然、感情に左右されて然るべきなのだ。

必然的に出廷を拒みたくなるのだが、明確な理由なき未出廷には罰が科せられる。

しかもその裁判員に選出される確率は、平均して1/2894。

運悪く死刑判決が下されるであろう事件に当たってしまう恐れが誰しもにあった。